仙腸関節障害

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仙腸関節と関連疾患

Sacroiliac Joint  Multimorbidity

仙腸関節障害とFAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)

足を踏み込むとお尻から鼠蹊部が痛む


 
大腿骨寛骨臼インピンジメントでは、CAM手術した群と骨盤を10度後傾させた群では、得られる股関節の可動域変化が同等であると言われています。
参考文献: Kobayashi N at al: Effect of decreasing the anterior pelvic tilt on Tange of motion in femoracetabular impingement; a computer-simlation study.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8060763/

このため、一般的に骨盤後傾トレーニングをするのですが、それがきっかけで仙腸関節障害に至る方がいます。
 
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仙腸関節障害

神経痛?股関節症状?


 
仙腸関節は、本当に面白い変化を起こすこともありますが、やはり上記で説明してきたような腰部の病態と併発していることがほとんどなので、これだけをやれば良いということはまずありません。
そもそも仙腸関節を安定させる筋肉や靭帯は腰部や股関節に付着しているため、腰部や股関節が異常を起こしたために仙腸関節に問題が生じるということも普通にあるからです。
参考文献: 股関節障害と仙腸関節異常

陰部神経痛と仙腸関節障害

深部臀部症候群(Deep Gluteal syndrome)


 
肛門痛・陰部痛を起こす陰部神経の障害は、以下のような部位で起こると言われています。
①梨状筋の下で、陰部神経が大坐骨切痕から出る際に起こる
②仙棘靱帯と仙結節靱帯の間で起こる(最も一般的な部位)
③アルコック菅
④終末枝の巻き込み
参考文献: Anatomic basis of chronic perineal pain: role of the pudendal nerve. Surg Radiol Anat. 1998;20(2):93-8 Robert R, Prat-Pradal D, Labat JJ, Bensignor M, Raoul S, Rebai R, Leborgne J.
これら4つの部位全てにおいて仙腸関節が関わるため、仙腸関節の検査と治療が欠かせません。
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椎間板症・椎間板ヘルニア・神経根障害

椎間板への力学的負荷を読み取る


 
こちらは仙腸関節障害ではありませんが、併発しているケースがほとんどのため、腰部椎間板について紹介します。
椎間板ヘルニアは膨隆タイプと脱出タイプに大きく分けられ、どの方向にヘルニアが脱出・膨隆しているかによって、病態が変わります。
脊柱管内に飛び出てくれば脊柱管狭窄症となり、椎間孔側の後外方に飛び出ると神経根障害となります。
この飛び出る方向は、椎骨の回旋・側屈・前方滑り・屈曲・伸展の力学的ストレスによるものなので、飛び出ている方向と関節の状態から症状が改善する調整方向を分析していくと改善できます。

飛び出ていなくても椎間板が変性を起こすとMRI画像で他の椎間板と色が異なる変化を来たすことがあります。さらに悪化すると上下の椎骨の椎体部分の終板と呼ばれる表面が変性を起こし(Modic変性)痛みを起こすことがわかってきています。
参考文献: 腰痛に対する仙腸関節障害の有病率
時間はかかりましたが、現在は運動もできています。
 

変形性腰椎症 側弯症

画像診断と力学的分析

Sacroiliac Joint

仙腸関節の障害

一番問い合わせの多い「仙腸関節の障害」についてご説明します。
 
仙腸関節はその前方腰部の神経が走り抜け、その下方には坐骨神経が走行するため、 神経痛ととても関連がある関節として近年注目されています。
 
股関節は、仙腸関節を構成する腸骨(寛骨)と直接接触しているため、 股関節疾患を患う方の多くは、この仙腸関節の機能制限を患っていることが非常に多いです。
 
また女性で言えば、骨盤内腔とほぼ同じ大きさの胎児の頭を通すために、 出産時に仙腸関節は安定性を一度失うことを経験せざる追えません。
 
このページでは、下肢の神経痛との関わり、股関節疾患との関わりについて説明します。

仙腸関節が及ぼす様々な症状

仙腸関節障害による症状
骨盤を下から見ている図
仙腸関節を構成している寛骨は、股関節を構成している骨であるため、大腿骨頭を受け止める臼蓋の被覆状態を変化させます。
仙腸関節の非対称性によって、大腿骨頭への被覆面積の変化を起こし、その結果、変形性股関節症など股関節疾患を起こすことがあります。
逆に言えば、股関節の障害によって仙腸関節も異常を来します。
参考文献: 股関節と仙腸関節
 
仙腸関節は、恥骨結合によって大きく障害を受けないような構造になっています。
つまり仙腸関節に負担がかかれば、恥骨結合にも影響を出していますため、グロインペインと呼ばれる鼠径部の痛みや妊娠中や産後の恥骨や骨盤周囲の痛み(骨盤帯痛)を起こします。
右外側から見ている図
仙腸関節は、自分自身では意識的に動かすことのできない関節です。
では、なぜそんな関節に異常が生じるか。
それは、脊柱や股関節の動きの影響を受けるからです。
 
この動画では、足を上げる動作における3つのパターンを紹介しています。
①股関節単独での動作
②大腿骨の動きの方向を寛骨が一緒になって動いているパターン
③大腿骨の動きを骨盤全体で引き受けたパターン
 
この3つともこれだけでは異常とは言い切れないのですが、ある目的に対してどのように動く必要があるかを確認して、その目的に合った動作ができているかを触診と検査で確認していきます。
 
例えば、
ランニングでは②と③は推進力がロスしてしまいます。
車の運転では、リクライニングを効かせて③の動きを利用した方が良いかもしれません。しかし、それも強く行えば、腰に負担がかかってしまいます。
 
つまり、①も可能だし、③も可能。また別の動作もやろうと思えばそれができるというのが機能性が適切に備わっている、ということになります。
 
仙腸関節と寛骨の臼蓋
骨盤を上からと下から見ている図
仙腸関節の向き(青)と臼蓋の向き(赤)

仙腸関節と股関節の障害の関連

上記で説明したように、股関節を形成する寛骨の臼蓋(受け皿)は仙腸関節の状態によって向きが変わり、大腿骨頭を覆う面積などが変わってしまいます。
 
変形性股関節症・臼蓋形成不全や股関節のインピンジメント・グロインペインなどがある方は、この仙腸関節を調整することで股関節の動きがスムーズになることがあります。
 
「あぐらがかけない」「足を抱え込むと前側が詰まる」などの日常動作から、ボールを蹴る動作や走るなどのスポーツ動作においても、ある動作の瞬間に骨盤がどのように向いているかを触診していくと、股関節の問題かと思っていた現象も仙腸関節の調整で改善することは珍しくありません。
後から見ている図
股関節の「臼蓋の後稔」ことが、変形性股関節症へと発展しやすい1つの要因だと言われています。この後稔は生まれつきの場合もあれば、仙腸関節の異常によって起こる場合もあります。
前述したように、寛骨が回旋(仙腸関節の動作)すると臼蓋が後稔するために股関節の可動域を著しく落とします。
 
それはなぜ起こるのかを考えていかなければなりません。動画では、その一例をご紹介しています。
股関節の伸展動作が硬くなっている方がいたとします。座り仕事をしている人は足が後ろに伸びないことを感じている人も多いかと思います。そんな方がランニングを始め、後に蹴ろうとしたり、ジムに通い出して大臀筋を鍛えようとランジを始めた、そんな方もいるかもしれません。
伸展動作が硬くなっている状態で、無理して足を伸展しようとすると、隣接する関節である仙腸関節に力が逃げ、寛骨が回旋してしまうことがよくあります。
その場合は、仙腸関節の調整以外に、股関節の伸展の動きを治してあげなければなりません。
仙腸関節と坐骨神経
骨盤を後から見ている図
仙腸関節の状態と坐骨神経の走行

仙腸関節と坐骨神経との関連

坐骨と大腿骨におけるインピンジメント(衝突)が報告され、股関節の前側だけでなく、後方部での股関節のインピンジメント疾患も一部の学会で注目を浴びました。
 
それは、 人工股関節置換術の術後も続く臀部から鼠蹊部にかけての痛みを分析した結果、坐骨結節と大腿骨の小転子の間で圧迫が起き、坐骨神経を刺激していたという発表でした。
 
元々股関節の機能を低下させている方の多くは、トレンデレンブルグ兆候と呼ばれる骨盤の傾きが存在しています。その傾きによって坐骨神経が障害されます。
これは仙腸関節の機能障害によっても寛骨が傾くため、坐骨神経痛の方に稀にではありますが、起こっている場合がある状態です。
仙腸関節の不安定性
腰を後から見ている図
腸腰靭帯による仙腸関節の安定

仙腸関節と腰部の関連

あたかも「仙腸関節が坐骨神経痛や股関節の痛みを解決してくれる」みたいに見て取れてしまいますが、冒頭でもお話ししたように、「なぜ仙腸関節が悪くなるのか」を解明していかなければなりません。
 
仙腸関節の安定を図るのに第4腰椎と第5腰椎から伸びる腸腰靭帯が仙腸関節の安定に関係しているのでご紹介します。
 
椎間板の圧迫や腰椎の傾きや回旋などの状況によってこの腸腰靭帯の張力に変化が生じ、安定して強固な仙腸関節が圧迫を受けたり離開したりという状態へとなってしまいます。
 
そのほかにも原因は無限大にあり、皆様の貴重なお時間をお借りして少しずつ解明しながら変化を伺う、そういう治療をおこなっています。
仙腸関節の力の伝達
骨盤を正面から見ている図
姿勢によって変化する力の伝達方向

立位と座位での仙腸関節の力学的変化

 仙腸関節には「このポジションが正解」というものはありません。役割から見ればそれは当然のことです。
 
 上半身の力(重み)を下肢へと伝えるという大切な役割がある仙腸関節はその足の位置が変化すれば、力の伝え方も変化させなければなりません。
 立位と座位では、大きな足が前方か下方かにあるだけではなく、重心が大きく前後に移動させられます。その際にかかる力学的変化に対しても仙腸関節がうまく機能しなければなりません。
 
 皆様の普段行っている体勢や動作を教えてください。そこから仙腸関節が求められる動きを分析していきます。

脊椎の検査治療・仙腸関節の検査治療

各治療法による効果の期待値

治療の種類 メリット デメリット
ブロック注射
・注射により疼痛が軽減する場合、仙腸関節由来の痛みと判断出来る。
・仙腸関節外の組織(靭帯など)の疼痛に対しても効果がある。

・仙腸関節包が膨張している場合、背部の痛みが無くなっても仙腸関節の痛みは軽減しない。これは、仙腸関節包が背側だけでなく腹側からも神経支配を受けている為、神経経路が完全にブロックされずに残存する。
・関節包内の疼痛に対しては効果が乏しい。
固定

・仙腸関節を固定することで関節の不安定性から来る疼痛を軽減出来る。
・関節周囲の靭帯による固定性を補助することで、安定性の向上がはかれる。
・骨盤ベルトなど装着が容易で調整しやすい。

・固定することで関節の動きが制限されてしまう事で関節の緩衝作用が効かなくなり、他部位(腰部や股関節など)で問題が生じる場合がある。
・正しい位置に装着しないと効果が期待できず、日常生活動作の中で徐々にズレて行ってしまう為、その都度装着しなおす必要がある。

・麻酔的な効果があるため、即効性が期待で出来る。
・硬結部をピンポイントで緩められる。

・即効性はあるが根本治療には繋がらず、時間経過で再発する恐れがある。
・緩める事しか出来ない為、関節捻挫のような障害の場合には効果が乏しい。
運動 ・骨盤周囲の筋力トレーニングにより、筋肉が天然のコルセット機能となり骨盤の安定性が期待出来る。
・衝撃などのストレス耐性が向上する。

・間違ったトレーニング方法(動かし方など)により状態の悪化や他部位の痛みに繋がる。
・オーソドックスなトレーニングではなく、一人ひとりに合わせた動作をオーダーメイドする必要がある。

ストレッチ ・可動域向上による負荷軽減。
・筋拘縮による障害には効果が期待出来る。

・弛緩性の障害では症状を増悪させてしまう。
・狙った筋肉に正確に効かせる必要がある。

股関節・膝・足が及ぼす影響

人間は歩行する際、下からの床反力を常に受けています。
運動連鎖が正常に作用していれば痛みなどは起きませんが、怪我や日常の姿勢によって運動連鎖が崩れると痛みや痺れとして身体に現れます。
 
腰椎や骨盤は足首や膝がどんな位置に存在しているかによって、負担のかかる場所が変わってきます。例えば過去に足関節捻挫の既往がある場合、小指側に体重が乗りやすくなる内反足になる傾向にあります。
 
内反足になった場合、バランスを取るため様々な関節が代償を行いますが、腰椎や骨盤が代償を行った場合、腰椎や骨盤は身体の中心よりも外側に引っ張られます。
骨が外側に引っ張られると腰方形筋や腹斜筋、殿筋群の筋肉が過緊張を起こし腰痛や股関節障害になったり、外側に偏位した骨が神経を圧迫し神経痛などを引き起こします。
ランニングをやっている方に多く起こるタイプの腰痛であるため、こちらのページも参考にして下さい。
ランニング障害   スポーツコンディショニング

 
下肢の腰痛への影響

関連部位の症例動画

腰部脊柱管狭窄症による足の運動障害


【足が上手く動かない・指先の感覚が鈍い】
このような症状では、腰や骨盤の治療をすることによって、一回目から効果が実感できる場合が多いです。もちろん一回で症状を全てなくすことは出来ませんが、回数を重ねるごとに動きが良くなっていきます。

スポーツ外傷と身体の癖の関係(肉離れ)


こちらは腰の症状ではありませんが、外傷後痛みが引かない・再発する原因には神経障害が隠れている可能性が高いです。
動作分析と共に肉離れと腰の関係について説明しています。
 

腰や股関節の障害に対してのブログはこちら
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